2010年4月20日火曜日

さばくのアメリカ

 月が丸い、真夜中、精霊が言うには、
「空の雲って白い森みたい」
 ぼくは驚き、そして言うには、
「それじゃ月は黄色い湖」
 何も答えず精霊は掻き消え、ぼくはアメリカ旅行の続きに入った。

 寝ぼけ眼で、「ここはどこ?」
 さもありなんと、「グランドキャニオンだ」
「キャハハ! たとえ、ここがグランドキャニオンだとしても帰らない!」
 赤いオープンカーはそれのせいで立ち込める砂煙よりも薄くなり、深夜にまた月が浮かぶ。ぼくは言う。
「このように車のタイヤに引きずられて生きるのも、これまたアメリカだな」
 だれも応えない。精霊も今日は出てこない。

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