月が丸い、真夜中、精霊が言うには、
「空の雲って白い森みたい」
ぼくは驚き、そして言うには、
「それじゃ月は黄色い湖」
何も答えず精霊は掻き消え、ぼくはアメリカ旅行の続きに入った。
寝ぼけ眼で、「ここはどこ?」
さもありなんと、「グランドキャニオンだ」
「キャハハ! たとえ、ここがグランドキャニオンだとしても帰らない!」
赤いオープンカーはそれのせいで立ち込める砂煙よりも薄くなり、深夜にまた月が浮かぶ。ぼくは言う。
「このように車のタイヤに引きずられて生きるのも、これまたアメリカだな」
だれも応えない。精霊も今日は出てこない。
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