「革命家さんですか?」
「はい」
私はタクシードライバーにそう答えた。彼は言った。
「マルクスは難しくてよう分からんですな」
「いやマルクスって実はものすごく楽しいですよ」
「いや分厚くって日本語じゃない日本語ですな」
「いやマルクスってすっごくおもしろいんです」
私は革命家の常識としてマルクスを常読しているふりをした。
「もうあれですよ? わたしほどになるとですね、十四歳の少女、そいつはものすごく大きくって形のいい胸を引っさげていて、歩いているだけでキスしてしまうぐらい厚い唇をしている、そいつが書いた文章に見えます。そのように書き直したりしますよ。『共産主義という怪物が来ちゃった!』みたいな、ね?」
「うひゃひゃ! その少女は可愛いですな、マルクス読んじゃおうかな、わたし?」
そのとき私は『魂の』革命家としてマルクスを侮辱したこのドライバーの本質的狂気に吐き気を催した。マルクスに対して「うひゃひゃ」はねーだろ、死ね、と思った。同時に、『偽』革命家としての自分に吐き気を催した。神々しい生き方としてマルクスとエンゲルスが高い頂の上に輝いているのが見えた・・・・・・
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