2010年4月20日火曜日

転落

 或る娘は己の人生の輝く絶頂期に早くも達し、幸福の累乗効果が留まる頃を知らない日々を送っていた。肉体と歴史が強烈に目覚め始め留まることを知らぬ生活! ……それぞれが小粒の宝石であるような友人たち! ……笑いさざめく波がまるでカゴメカゴメを思わす嵐のような男たちとの交流! ……彼女の前には宝石や札束の輝きがすばらしい果実のなる並木道が桃源郷があった…… 時代の文化を象徴しながら街を友人たちと滑るように闊歩する! ……ふと、前方から「彼女たち」が毛嫌いしている男が歩いてくる。男はかすかな完全な世界における汚点として微妙な空気を一団に及ぼしながら、ともかくにもはやくすれ違おうと。と、その時、男はよりによって彼女の眼を狙って微笑みかけた! 動揺! 嫌悪と怒りと恥辱と揺らぎ! 男の微笑みは絶え間ない嘲笑とうわさと物議と不公平な推測を醸し出しながら日々深まり繰り返され、よりによって彼女に降り注がれた! まるで彼女だけが男の微笑みの唯一の受け皿だとばかりに…… 転落の程度は怒りの目盛りへと変わり、屈辱の高まるさなか、ついに女は汚い歯を見せて笑う生き物に向かってこう問いただす…… 「いったいなんのつもりなの、このわたしにむかってぇ…ぇ…ぇ」男は笑いながら答える。「いや、ただね、あんたに汚い歯をぜひ見せたくって」

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