借金のかたに九歳の少女が売られてきた。あるとき、わたしは昔からの同級生の親友に、「九歳だからといって触りもしないんですか?」と尋ねられる。「触りもしません」オォという声。「でもあの容貌ですよ?」わたしは説明した。「いいですか? 別にわたしが望んでこちらに売られてきたのでない。ただの経済上の理由によってです。いつどうなるか分からない。固定もされてない娘をどうしろというんです?」親友はなお怪訝な顔でわたしを見ていた。
養子に来た娘が言った。
「九歳だからといって触りもしないんですか?」
怒っている。「それで申し訳がたつんですか?」
「いやね、普通はひとめ見てどうとか是非家に置いておきたいとかあるのだがおまえの場合は違う」わたしは言う。
「どう違うんですか?」
「つまり、お金だ。おまえがお金に困っているからただ便宜上ここに置いているだけのこと。それ以上の必要もなく、関係もそれ以上・・・・・・」
娘がその時するどく言葉を捕らえた。
「関係って今わたしたちどんな関係ですか?」
「父と娘だ」
そう言ってみたが、
「いや雇い主と労働者だ」
いやそうは言うが、
「言葉にならない」
その言葉を聞いた娘は繰り返した。
「言葉にならないじゃ親が納得しません。親は世間を気にします」
じゃあ、
「婚約者だ。しかし触りはしない」
娘の眼はようやく少し落ち着いた。
「交渉は続けるつもりです」
・・・・・・
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