「おまえな、そんなに世の中のことを子供みたいに信用しているみたいだがな、昔も昔、世界の人口すら何万人しかいない時代に、インドで何も知らない人々の空前の国家ができた。石の宮殿に住み、今よりもずっときれいな水を飲み、今よりもずっと人々は戯れあい幸せに暮らしていたわけだ。そのおり、全く不合理に、どうしようもなく、アルテマという恐ろしいものがその人々を襲ってきた。人々はバターのように溶けて、意識も身体もないのにもがいて逃げようとしたよ。昔の石造りの宮殿は廃墟と化して岩石だけの形を残す。水は汚く濁り砂漠に付け込まれた土地には荒涼とした草原だけしかなくなってしまった。おまえ、世の中なんてそんなものよ」
「だからおれがいま研究しているのは、どんな整然とした数字でもめちゃめちゃにしてしまうようなランダム項なんだよ。その存在を無矛盾で証明できればもう、誰も働く気なんてなくなってしまうだろうな。生き甲斐をなくしてね」
0 件のコメント:
コメントを投稿