2010年4月20日火曜日

ミレヌナの物語

 生そのものを生きるよりも憎しみを生きることを自ら好んだ怪獣ミレヌナは、今日もエジプトの太陽神殿をドタドタと品なく暴れまわっている。その両目にはナイフ、その口には破壊的な小道具が詰め込んであり、それらは彼の為すことのみならず彼の姿をも不気味に見せている。そこへコンドル、美しい青色のコンドルが、曇り空を背に滑り降りてきて、廃墟を優しく照らし出すと、あちこちの石が崩れはじめて青い炎を噴出し始め、そこで怪獣ミレヌナも慌てふためくざまと相成る、暴れだしてどうも何も手につかなくなる。果たして生きるためには何が必要かといわれれば、小鹿の肉以上のものを思いつく事ができない怪獣ミレヌナは結局たまらずに飛び出し、緑の山に隠れこみ、氷の湖を見張ることにした。そこに何よりも欲しい獲物が一頭も来ないことにいらだって水に飛び込むと、とたんに湖を囲む茂みから小鹿が飛び出し、その小さなたくさんの角々でミレヌナを突き刺した、その数四十九。バンビはその後に大きくなったそのうちの一頭だが、結局ミレヌナの正体について究極無知のままその気高い一生を終えた。その小鹿集団の最後の鹿が死に絶えると、その子供さえも一頭を除いていなくなる、その一頭が大きくなってくるにつれて、醜悪な様子を見せはじめ、それは終にミレヌナの一化身と化してしまう。その汚いゾンビー鹿には二対のナイフのような翼があり、空を飛ぶときには雲を切り裂きながら光速で空を滑空するのに非常に役に立ち、その光景は視力の悪いものにとっては実に美しい光景であろう。しかし彼が空を飛ぶにしたがって、そこにはたくさんの彼の仲間がいることに次第次第に気づき、そして彼もどこか遠くに消え去る。だが、その一化身としての姿さえも実は湖に映った偽者の姿に過ぎない。

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