かたすかしのような、透明な、透き通った生活。
美女たちの視線は壁を貫く。
そしてわたしは天使たちの群れを見る。
見た、寄ってきた、
「アウラ」
消えてほどけて白いどっしりとした糸の固まりになり、それはフローリングに音も無く落ちる。
「アウラ」
かたすかしのよな存在。
そしてわたしは天使の群れを見る。
来た、触れた、通り抜けた、
「ソムリ」
面妖な樹の魔女が汁となって、壁と壁が出会うところからシャワーのように噴出す。
その冷たいこと。やめてくれ。冷たいから。
「ソムリ」
そこでわたしは哨兵だった。
その昔ひとりの熟女を愛した。
その熟女は折り紙の達人だったが、一日に人間と十分しゃべったらいいほうだった。
しかもなお毒舌だった。
だからわたしが彼女を愛せていたどうかは彼女に聞いてくれ。
「アウラ」
そもそもの始まりは海の生活だった。
筏と洞穴が日光に照らされている。
それがわたしの家だった。
そこへロケットが飛んできた、いやあれはロケットなのか? わたしはロケットを見たときそれを正しくロケットと呼べるのだろうか? もし妙子を、わたしが妙子であることを知らないとき、正しく妙子と呼ぶことができるなら、あれはロケットだったのだ。光が、わたしを捕らえ、愛する筏と海が消えた、それともわたしが消えたのか? わたしはロケットあるいはそれに類する三角錐上の何かの中にいた、走り回って確かめたから間違えない。
「ソムリ」
とめどもなく走り去る群れ―群れ―群れの中に、息ができないくらいの人いきれの中にわたしはいた。
頭がどうかなりそうだった。
ある日、ひとりの熟女を愛した。
彼女は魔法の手つきで様々な鳥の形を紙で作り上げた。作り上げるたびにゴミ箱に捨てるのだ。わたしは彼女の出すゴミに詳しくなった。しかしこれは別の話だ。彼女は髪が長く、白い飾りを胸によくつけていて、わたしに怒鳴り散らした、わたしは海の匂いがするのだ、わたしは見えない、その海の匂いによって。
それが次の段階だった、壁の中から潮の香りがするとき彼女はそっと壁に手を触れて、赤い血しぶきと切り刻まれた肉片と共に、壁にのめりこんでいった。もう一度言わせてくれ。彼女は血しぶきを上げながら壁にのめりこんでいったが、それはまたカッターの刃をつけた業務用の扇風機に指先から自ら削り取られて肉片を撒いてゆく白い服の深窓の令嬢のように見えた。たんぱく質の大根おろし。わたしはそのとき海を見た。海の上にたくさんの紙で折られた鳥たちが飛んでいたが、そのうちの一羽として正しい名前を言うことができたのか? わたしはそこのところ疑問に思ってる。
「アウラ」
太陽が照っていた。考えはすべて消えた。
太陽が強く、照っていて、考えはすべて消えて、眼に強い光が焼きつけられるのだ。太陽が照っていた。
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