2010年4月19日月曜日

オイディプス父娘

 その父は娘を抱きかかえて現れた。小学生ぐらいの娘の肢体は針金のように細く長く、折れるようだ。父の首にすがりつき離れ、またしがみつき、なだれかかる。まるで一体化したラオコーン像のような一時間の後、父は娘を下ろし、娘の耳をかんだり、耳にステキな言葉をささやいたり、そしてまた娘は父を壁にしたり、父の胸を舐めようとしたりする。
 それが大勢の人が集まる都会の或る場所で、母と妹を待っている間に、ぼくが観察できたすべてだった。いや、それ以上だった。

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