或る男が森で自給自足をしていると、特許局の役人と名乗る男が訪ねてきた。
そして言うには、その男が自給自足するために行っている様々な工夫は、様々な人の発明によっているがゆえ課税の対象となるということだった。
「あなたの生き方、それこそがまさに特許番号五十九番、つまり聖書の次に生まれた発明で、同時に課税対象なのです」
「わたしは何も持っていない。支払えない」
「それでは刑に処せられるということになります」
「何をされるのです?」
「要するに殺されます。今では発明と人頭税は同一視されているのです」
「何だ、それは。第一、その工夫を考えたのはすべてわたしだ。わたしは孤独にひっそりと生きていて利害関係などだれに対してもない」
「そんなことは許されません。第一マザー・メアリーの存在を無視しているじゃないですか? すべてを一体化する光の下で、あなたが物事を一人で考えるのは無理ですし、利害関係をひとりで片付けられると思い上がるのは大変な傲慢ですよ?」
「警句を言おう。何を嫉妬する? 浮気するぼくを? すべてを持っているお方がほんとに嫉妬深いこと」
「ではわたしも警句でお返しします。無能な美女は存在するだけで価値がある。それがゆえ、美しく無能な妻こそ、いや無能な妻だけを、ただ人は愛するだけでなく愛し続けることができる」
0 件のコメント:
コメントを投稿